Drip Painting Simulator

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Drip Painting Simulator
Masaki Yachiune

将来、ミュージアム(美術館、および博物館)は、どのような形態になっているのでしょうか。歴史的に貴重な文化財や資産も、長い年月を経て劣化し、滅びていく宿命にあります。もし、これらの展示品が失われてしまったら、ミュージアムは何を展示し得るのでしょう。本研究は、新たなミュージアムの形として「体験」を可能にするシステムについての提案です。本システムでは、絵画技法の中でドリップペインティングと呼ばれる表現を、簡易操作で体験できます。制作過程を体験することにより、作品の新たな魅力を発見することができるかもしれません。

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見る鑑賞から体験する鑑賞へ

 従来のミュージアムの形態は、展示品と文字情報による解説の陳列に留まっていました。けれども、今日では学芸員やアーティストによるワークショップが頻繁に催され、展示品に実際触れることできる「ハンズオン」のような展示手法も増えています。これらは、作品や制作者の背景にある原理や理念を鑑賞者もその状況を体感し、理解する展示が望まれており、いわば「物質的な価値」から「経験する価値」への移行とも言えるでしょう。本研究では、以下の特徴を備えた環境を「体験型鑑賞」環境と定義し、「経験する価値」を提供し得る様々な展示形態を試みました。

1)身体性を有した相互作用性のあるもの
2)操作方法、動作が簡潔で分かりやすいもの
3)それぞれの鑑賞者に対して、多様な成果や知識、あるいは解釈が得られること

コンセプトと仕様

 本システムでは、米国の画家ジャクソン・ポロック等に代表される技法「ドリッピング」を容易な操作で体験することを可能にしました。
キャンバスに向かって筆やペンを模したデバイスを振り、インクの滴りを変化させることで描きます。色彩の選択は、カメラにより認
識するパレット上にカラーチューブを模したオブジェクトを置いて行います。パレットに置かれたチューブは、3 色までの混色が可能で、
実際のパレットで絵具を混ぜ合わせるように様々な色の選択を可能にします。


谷地畝 昌樹 Masaki Yachiune
1983 年 岩手県江釣子村生まれ
早稲田大学理工学部電気電子情報工学科卒業、理工学部在学中にテクノロジーとデザインの関係に関心を持ち、現在に至る。国際情報通信研究科修士課程