City Walk Navigation System

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City Walk Navigation System
Hiroaki Takahashi

近年、江戸時代や明治、大正の情報を記載した古地図などを手に、町を探索している姿を多く見掛けます。このような地図を携えて歩くと、普段は何気なく通り過ぎている交差点や施設なども、より魅力的に見えてきます。本研究室と台東区との共同プロジェクトでは、膨大な区内の史跡資料を整理し、地図情報と照合して、より有効に適切な情報を提供する方法を試みています。文化情報を配信するウェブページを基に、また町歩きをしながら、リアルタイムにこれらの情報を取得出来る方法として、Google map を介して史跡などの情報や解説を受信する方法を提案します。

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 早稲田大学長幾朗研究室と台東区の文化情報を配信する文化振興プロジェクトも早4 年目を迎えました。地域文化やその情報の多くは、郷土資料館や図書館などの資料室の奥深くに埋もれていたり、時には資料が整理されてもテキストベースや紙媒体のリストが制作されていても、時間や空間における資料の位置付けが適確でなかったり、活用する側にとっては利用しにくく、あるいは大変狭い分野や内容などの不足があったり、地域の知的財産として十分に活用されているとは言えない状況があります。また文化財や紙料の記録は、腐食や退化、制作時の素材の喪失や自然災害での紛失など日々失われている現状を考えると、結果として地域の伝統文化や技能をも消滅、枯渇させてしまうことが懸念されます。
 日本では、平成18 年(2006)12 月に「観光立国推進基本法」を立てて、21 世紀の日本の重要な政策の柱として位置付けました。基本理念としては、地域の創意工夫で住民が誇りと愛着を持つことが出来る地域社会の発展を通じて国内外からの観光を促進するとしています。これに伴い、政府は国際競争力のある魅力ある観光地の形成、観光産業の国際競争力の強化を唱えていて、観光立国の確立を目指していることが窺えます。そのためには地域の文化財の保護や保全は、欧州先進国と同様に資産を産業資源として評価し、位置付ける必要があります。浅草や上野などの観光地を擁した台東区の地域経済基盤を確立させるためにも、この政府の方針は重要なファクターであり、周到な戦略が必要です。現在、本研究室ではすでに町歩きや史跡巡りのための資料の作成に着手しており、インターネットのウェブページ「台東区文化ガイドブック・文化探訪」の閲覧に加え、PDF 形式の地図などをダウンロードしたり、プリントアウトを可能としています。これに加えて、携帯端末などによるより地域に即した情報配信を試みています。
 台東区内には多くの観光客で賑わうスポットもありますが、一般的なガイドブックには掲載されていなくても、その地域の発展の経緯や歴史を刻み込んだ史跡や資産も存在しています。またそのような資産が確としてない区内の地域でも、生活と密着した再生により集客に成功している町会もあります。このような個別の情報をより詳しく知りたいという要望も多くあります。このような町歩きと携帯出来る文化情報により、歴史的地域や文化財を十分に顕在化出来るものと考えます。そのため、iPhone などの高品位・高密度の情報配信を準備しています。

台東区文化ガイドブック「文化探訪」 http://www.taito-culture.jp/

高橋 宏彰 Hiroaki Takahashi
1979 年 神奈川県出身
University of Lethbridge 卒業、日本の歴史、伝統文化、重要建築等に関心を持ち、台東区の文化プロジェクトに参加。国際情報通信研究科修士課程